
ロマン・ロラン全集 31(日記 Y) みすず書房 1982
膨大な日記の中でインドに関係するものが大部分を占める巻。ロランのイ
ンドに関する文章は一方でガンジーやタゴールとの交友も深く、またヴィヴ
ェカーナンダやラーマクリシュナなどの思想家の研究もあって単なる知的興
味ではない真剣な内容に満ちている。ロラン自身がインドの思想、文学、社
会的実践に強い影響を受けていたのではないかとも思える。「ジャン・クリ
ストフ」や「魅せられた魂」の普遍的人間像がわれわれロランの愛読者を惹
きつけてやまないその源泉の一つがここにもあると考えるのである。
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