
証言としての文学(全集・現代文学の発見 10) 學藝書林 1968
戦後もやがて4半世紀になろうかという頃にこの全集が出た。そのころこれらの
文学作品は既に現代の古典と呼びたいぐらいに永く読み継がれるにちがいないと予
感がしたものであった。それぞれの作家たちも「これだけは書き残さなければなら
ない」という激しい精神と情熱にあふれていた。どの作品をとって見てもたしかに
時代の証言の色合いが濃いのである。しかも、その書き手たちは多くはすでに亡き
人たちであるが、その作品群は私たちに語りかけるのをやめないのである。主な収
載作品。「俘虜記」「夏の花」「戦艦大和の最期」「松川裁判について」。
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