
日記 X−戦時の日記 W−(ロマン・ロラン全集 30) みすず書房 1981
1914年7月、第一次世界大戦が起こりヨーロッパは未曾有の殺戮戦の泥沼に
引きずり込まれる。ロランは正義の戦争はあり得ないと故国フランスだけではなく
ドイツの社会の良心たるべき知識人に呼びかける。結果的にはトーマス・マンをは
じめとするドイツのいわゆる選良たちには嘲笑を浴び、国内ではドイツの暴虐に対
する報復熱をあおるプロパガンダのために国民の多数はその声に耳を貸そうとしな
いばかりか、ロランをドイツの回し者扱いするありさまであった。ロランはジュネ
ーヴの国際赤十字本部で戦時捕虜やその家族、戦争による行方不明者の探索などの
活動にたずさわることで平和の回復のために働くことになる。1918年の戦争終
結にいたるまでの間の時代の証言とも言える覚え書きの性格を持つ日記である。
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