
芸術研究 T(ロマン・ロラン全集 20) みすず書房 1982
「近代音楽劇の起源」「ミケランジェロ」「16世紀イタリア絵画の凋落」の三
つの作品が収められている。
音楽史家であるロランの専門の論文は門外漢の一読者には理解の度を超えたもの
であるので、紹介のしようもない。また、音楽研究のためにイタリア留学をした若
きロランがルネッサンスに代表されるイタリア芸術にじかに触れて言い難い感動を
受け、以後絵画史についても書くようになる。ロランが歴史家であると言われるよ
うに歴史、社会的な背景が綿密に掘り下げられ、時にはあまりに細かい註釈がなさ
れているのに辟易するほどである。この巻では幸いミケランジェロの伝記が収めら
れており、その方は肩が凝らず読みやすいのでそれのみ何回も読んだりしている。
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