
宗教から読むアメリカ 森 孝一 講談社 1996
アメリカ社会を理解することはとうてい不可能だとこの本を呼んで思わずにはい
られない。キリスト教という精神的基盤の上に成り立つ多人種国家、と簡単に割り
切ってしまうことが出来ない複雑な内面を持つ社会だからである。題名になってい
る「宗教から読む」作業がいかに困難かは著者の分析と解説がていねいであればあ
るほど対象とする問題がさらにその根の深さを見せるのでも分かるのである。人種、
生活レベルの違い、職業的格差などが人間的融和を妨げる社会の根底にあるものの
一部分を知るだけかもしれないが、たいへん参考になった。
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