
古浄瑠璃・説経集 新日本古典文学大系 90 岩波書店 1999
浄瑠璃のはじまりと言われる「浄瑠璃御前物語」ほか、「をぐり」「かるかや」
「さんせう太夫」などの説経節とも言う語り物。信州の善光寺の本尊観音の功徳を
たたえる「かるかや」は古い時代には善光寺参りの土産に子供に買って帰った絵双
紙の刈萱と石童丸の父子物語などでよく知られた内容である。また、「さんせう太
夫」、「阿弥陀の胸割」という語り物に現れる人の身代わりとなった仏が身に傷を
受ける話では、こうした心に沁みるような内容を芸能の形で表すことで観音や阿弥
陀信仰に対する深い信仰とその功徳を物語で語り伝えようとした昔の人々の心の内
が、今の読者にも伝わってくるのではないだろうか。
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