
パウロ書簡(新約聖書 W) 岩波書店 2000 初1996
パウロの名はキリスト教徒にとってたいへん重要な意味を持っている。彼は生前の
イエスとは何の関係も持たなかった。むしろ、初期のキリスト教徒にはげしい敵意さ
え抱いていて先頭に立ってキリスト教徒を苦しめていた。それが新約聖書中の使徒行
伝にもある(9章)ようにある深刻な体験を経てキリストを信ずる者の群に入ること
になる。これがパウロの回心と言われるキリスト教史上の最大の事件である。この時
からパウロは迫害者からキリストの熱心な伝道者となり、多くの文書を書いてイエス
が罪に苦しむ人間の救いのために現れた救い主であることを明らかにしたのであった。
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