
マラルメ・ヴェルレーヌ・ランボオ(筑摩世界文学大系 48) 筑摩書房 1974
19世紀フランス詩の三大詩人の主要な作品がここにある。マラルメとヴェルレー
ヌとはほとんど同年輩(ヴェルレーヌが二歳年下)であるのが不思議なくらいこの二
人の作風は違いが大きい。ランボオはマラルメより一まわり若い。しかし若いだけで
はなく、この二人の先輩詩人とは全く異なる精神世界に生きていたのである。上田敏
の名訳による「秋の歌」(秋の日のヴィオロンのためいきの……)はヴェルレーヌの
名を知らない人でも暗唱するほど日本語になじんでいる。「牧神の午後」で知られる
マラルメの詩はたいへん難物でときには退屈でさえあるのだが……。韻文詩「酔いど
れ船」、散文詩「地獄の季節」などのランボオの詩と後年のアフリカでのその生き方
が若い世代を引きつけるのは不思議ではない。
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