
雅歌・哀歌・エステル記(ATD旧約聖書註解 16) ATD・NTD聖書註解刊行会 1989
雅歌=愛の歌、哀歌=祖国滅亡を嘆く歌、そして民族の危機を救う女性の物語。
このまったく性格の異なる三つの書がどうして一冊の本にまとめて収録されるので
あろうか。これはかなり疑問である。というのが私の直感であったが、はたして本
書末尾の解説でその事情がかなりの紙数を費やして詳しく述べられている。ユダヤ
教伝統のメギッロースといわれる配列の仕方と比較的近代のキリスト教側の聖書研
究によって明らかになった年代をもとに並べ替えがされたことなど、各書の配列ひ
とつにもたいへんな苦心と努力の跡が伺われることが分かる。
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