
古代オリエント集(筑摩世界文学大系 1) 筑摩書房 1977
8ポイント、二段組で670ページにおよぶ大冊である。最近の大活字の本であ
れば5巻くらいの分量がある。こういう組み方の本はあまり見なくなった。紀元前
二千年期の文学を概観できるこの一冊の価値はたいへん大きいものだと思う。全部
を読み通すのは註釈の多さもあって容易ではないが、内容的には興味が尽きない。
おそらく古代の人々はこれらの作品を声に出して読み、それを聞いて楽しんだので
はないだろうか。旧約聖書の記述に影響を与えたと言われる洪水伝説や創造神話な
どに関心をひかれる面もあるかも知れないが、そういうことを抜きにしてもこれら
の説話、伝説を通じて古代人の魂に触れるのもいいのではないだろうか。
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