
カルトの諸相(キリスト教の場合) 井門富二夫 岩波書店 1997
叢書「現代の宗教」全16巻の中の一冊。公然と無差別殺人を実行するまでにの
ぼせ上がったカルト教団がわれわれの身近に存在したのを目にしたのはつい最近の
ことである。その教団が世間から糾弾され、嫌悪されもなお消滅しないというこの
現実を見るとその根がどこにあるのかを何度でも考えて見なければならないと思う。
カルトの現実を分析してみせるだけでは人間社会の苦悩はますます深まるばかりで
あり、それならば自分は何をなすべきかを示すことは困難なのではあるまいか。わ
れわれはカルトの外側に超然としていることは出来ない。誰でも何らかのカルトに
とりこまれていないとは言えないからである。真剣に自分の問題としてとりくみた
いものである。