
日本原爆詩集 大原三八雄 木下順二 堀田善衛編 太平出版社 1970
この本が出版されてからすでに三十年余になるが少しも色あせないばかりかます
ますその存在の重さはますばかりである。最近のニュースで、あの日広島の上空に
原爆を投下した爆撃機の一乗員が爆発の瞬間を目撃して「われわれは何ということ
をしてしまったのか」と思わずつぶやいたという事実が報道されたことを考えても、
破壊と殺戮という行為がどちらの側の人間をもどんなに苦しめるか分からない。広
島、長崎の悲劇はそれが原爆投下のボタンを押してしまうところまで人間を追いつ
める戦争の論理の結果であるのを思うと、核廃絶と戦争反対の声をもっともっと拡
げて行かなければならない。