
核戦争を待望する人びと グレース・ハルセル 朝日新聞社 1989
ショッキングな題名のこの本はアメリカのキリスト教における原理主義がどれほ
ど独善的で危険な思想にかぶれてしまっているかを考えさせる。この本には2001年
9月のアメリカでおこったいわゆる同時多発テロ以来われわれの耳にとどいてくる
(それとても情報の取捨選択がどこで誰によってなされているのかが問題なのだが)
報復の叫びの根にあるものをうかがわせるものがある。メディアは世界の平和をお
びやかす暴力の根はイスラム原理主義にあるかのようにくり返し述べたてるが、キ
リスト教原理主義もまたそれに劣るものでないことはわれわれの周辺では気付く人
が少ない。殊に純真なクリスチャンにおいてそうなのである。
越智道雄訳
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