写真集 ロマン・ロラン   みすず書房 1966                   ロマン・ロランの生涯の足跡を写真でたどることができる、このような   本は後にもさきにもこの本だけではないかと思う。文豪に影響を与えた芸   術家、政治家、思想家などの写真も多く収録されている。それにそれらに          かかわる事柄や出来事の詳細な解説がひとつの評伝となっている。殊に国          内においてはドレフュース事件の大波が襲い、国際的には第一次世界大戦          とその後に起こるロシア革命の成功、そしてドイツ革命の挫折とローザ・          ルクセンブルグとカール・リープクネヒトの虐殺というような内外の激し          い情勢の中でロランは人々に憎しみを超えることを求めて小説・評論の活          発な著作活動を続けたのだった。  

   写真はナチによる焚書(1933年)この時ロランの論文集「戦
   いを超えて」と「先駆者たち」も火に投ぜられた。
  

 われわれ全世界の男性と女性との軍勢は、平和を宣言するために、平和を世界に要求 するために、その旗じるしの下に集まったのである。この軍勢はさまざまな成員から組 織されている。われわれは互いに各自の党派または非党派の主義ならびに戦術をもって いる。しかしわれわれは今それを問題にはしない。「戦争に反対する戦争」という明確 な目的をもつわれわれの今日の戦いにおいて、われわれの同盟者のそれぞれの制服など は重要ではない。ただ各自の率直さ、大胆さ、われわれを結合している偉大な動機に対 する絶対的献身が問題なのである。                        1932年アムステルダムにおける戦争反対全党派世界大会で朗読された宣言。 ロランはこの大会にメッセージを送っている。