
現代キリスト教倫理(ボンヘッファー選集 4)新教出版社 1978 初版1952
ボンヘッファーの名は神学者、キリスト教思想家としての名よりも反ナチ
の実践的行動家としての方が印象が強い。その行動の源泉にあったのは「自
分の目の前で不当な暴力によって人が苦しめられるのを見たとき、どうして
その傍を黙って通り過ぎることができようか」という思想であった。もちろ
んボンヘッファーには福音書のキリストの教えと行動への深い理解をその支えとしている
けれども、一方、フランスのレジスタンスに見られる信仰者も無神論者も同じたたかいの
場で共通の思いで働くことができることを示していた。