
パスカルの方法(森有正全集 10) 筑摩書房 1979
表題の論文は読み切っていないので紹介できないけれども、他の幾つのか
の小文の中で「パスカルの信仰」という著作が読みやすく、パスカルその人
について知るのにたいへん参考になった。起草されたのが1938年であり、
最初に本になって刊行されたのが1943年ということで著者の比較的若い
ころのものである。パスカル研究は著者のライフワーといえるものであって第2次大戦後
にフランスに留学してその研究に一応の完結をもくろんでいたが図らずも20年以上も滞
在して研究を深めることになったことを考えるとこの初期のパスカル研究は大きな意味を
持つものと言えるのではないだろうか。