
森有正全集 補遺(森有正全集 補巻) 筑摩書房 1981
補遺というだけに本文が190頁程度の小さな本です。収載されている文
章も断章というほどではないにしても短いもので占められていて、しかも全
体のほぼ三分の一がフランス語で書かれているので、読めない自分には残り
の120頁ばかりを読むことにしました。しかし、補遺といっても他の大き
な著作を読んで理解する上で大いにヒントになる文章が何編かあるのは事実です。たとえ
ば、「文学について」という一文。これは比較的長文ですが、その冒頭の方に経験と思想
という著者がいろいろなところでくり返し述べている一つのテーマについて触れていてと
ても参考になりました。