
近代精神とキリスト教(森有正全集 7) 筑摩書房 1979
近代精神とはなんだろう?18世紀の西欧の啓蒙主義以来の人間理性の働
きを人間の生の営みの重要な動機あるいは要素とみる態度から生まれた思想
をいうのであろうか?近代精神と向き合うものとしてキリスト教を据える著
者の姿勢にもそれが見てとれると思う。そこから21世紀に入った現時のわ
れわれの直面するいっそう錯綜の度合いを強めてくる諸問題とどう向き合ったらよいのか、
ここに書かれた幾つかのテーマの中から何かしら思索と行為に導くヒントを得られるので
はないかと思う。ただ、文章の中に現社会においては容認できない一部不適切な表現もあ
るのが気にかかる。