
デカルトの人間像(森有正全集 9) 筑摩書房 1979
筑摩世界文学大系の第19巻にパスカルとデカルトが一冊になっているので
文学として読めるのかなと疑問を持ったのですが、この全集で著者が自身の
研究の重要なテーマとしてデカルトを長い年月にわたって書きつづった論文
を少し読みかじっただけでもそう簡単にはついてゆけるものではないことは
確かです。読む側も時間をかけて読むことによってほんとうの読解に近づくことができる
のではないかと思うのです。他の本を読むのをやめてこれ一冊に専念することが何百冊の
書を読むことに匹敵するということがありえるのです。当代とその後の時代の人々に巨大
な影響を与えた思想を研究する、その方法論をこの本から学ぶことができるからです。