
文読む月日 下 トルストイ 訳 北御門二郎 地の塩書房 1999(初 1984)
トルストイは晩年に全精力を傾けてこの著作に没頭した。完成して世に出た後
どのような反響があったかは知らない。翻訳された全集が複数の出版社から出て
いるけれどもこの作品は見当たらなかった。もっとも、この題名は訳者北御門が
最適な訳語を考えた末に自由に意訳してつけたものだそうである。たしかに原題
よりもこの方が内容にピッタリの題名である。上巻がここに積んでないので下巻を先に紹介す
ることになった。年間を通して毎日古今の書の中から選んだ言葉が引用され、トルストイ自身
の所感がつづられている。作者自身とともに読者が生活上のさまざまなテーマを考え、実践へ
と向かう、そういう本である。