
地上を旅する神の民 井上良雄編 新教出版社 1990
“バルト「和解論」の教会論”という副題からして??である。もちろん本文
の目次をみるとその意味が何となく分かるように思えるが、実際に本文を読み始
めると井上ひさしの文章読本に出てきた「不透明な」文章の典型のような気がす
る。それに否定叙述というような文章に出会うとますます不透明になってくる。
それはこの本の編者が言っているいわゆる平信徒(このような表現が存在することが問題では
なかろうか)にこそ読まれることを望むという方向とはまったく正反対の結果に終わっていな
いだろうか。このような文章に慣れている人々は別として、不慣れな読者はいたずらに言葉に
振り回され、(私自身がそうなので)観念の迷路に誘い込まれるばかりだと思うのである。下
に引用した部分は辛うじて自分に読解が可能かと思われるところである。