
これで昭和もおしまいだ いいだ もも 現代書林 1988
国体(年に一回のスポーツの祭典のことではない、国の体制ということ。この
同音異義の言葉が使い分けられるわれわれの世間がすごい。)という怪物がこの
国の人たちに人間らしく生きることを許さなかった一時代があった。その体制の
ピラミッドの頂点に神のごとく君臨して人民の苦しみをかえりみなかった人物が
いた。したがってその配下のいわゆる高位高官たちも権力を思うままに振るった。それが一度
は敗戦という事実の前に崩壊したが彼らには何らの反省もなかった。人間の証明である責任の
とり方も示すことがなかった。その根源を著者は対比列伝の方法であばき出そうとする。昭和
二〇年八月一五日の意味はわれわれの今日にとって何なのか?そして、その8・15以後のわ
れわれの社会が構築したものは?