
生けるインドの神秘と行動(ロマン・ロラン全集 15) みすず書房 1980
ラーマクリシュナとその弟子ヴィヴェカーナンダの名はロマン・ロランの著作
以外に知ることがなかった。中村元先生の書かれたものの中に見かけたことがあ
るかも知れないが定かでない。ラーマクリシュナの人とその生涯を読むときそこ
にナザレのイエスの思想と行動がそのまま重なって見えてくる。19世紀のイン
ド社会の底辺に苦しい生活を強いられる人々の中で苦しみを共にすることを自己に課すことで
弟子たちをもパトロンをも巻き込んでいった。地上のあらゆるものから自由であった生き方も
ナザレのイエスとまったく同じである。ただ違うのはラーマクリシュナを抹殺しようとするも
のがどこにもいなかったことである。