胃がんの再発と転移

再発とは、治療したあと生き残ったがん細胞がいろんなからだの場所に増殖してくる状態をいいます。どのようなところに生き残りやすいかは癌の種類によって異なるが胃がんで一番多いのはお腹の中全体にひろがるがん性腹膜炎(別名、腹膜再発)である。
進行した胃がんが胃の壁を貫いて胃の外側表面まで出ると、そこからばらばらにがん細胞がお腹のなかに出てまるで種を播いたようにがんが広がっり腸の壁を狭くして腸閉塞を起こしたり、尿管が狭くなって尿がでなくなったりする。また、腹水が溜まってお腹が膨らみ、呼吸が苦しくなることもたぶたび発生する
胃がんでがん細胞が血管に入り込むと一度肝臓にはいります。そこでがん細胞は肝臓でおおきくなったり、肝臓をすりぬけたがん細胞は心臓から肺にたどり着き肺でがんが大きくなる事もある。一方、血管ではなくリンパ管に入り込んだがん細胞はリンパ節に流れ着き大きくなるとリンパ節転移である。
肝臓の入り口の近くのリンパ節転移が大きくなると、肝臓から出ている胆管という管を塞いでしまい胆汁が体の中に逆流して黄疸になることもある。

一旦、再発が起こると完治することは今の医学ではたいへん難しい。再発の症状を軽減するための姑息手術としてバイパス手術を行ったり、抗がん剤の投与をおこなったりするがそれで完全にがんが治ることは通常はありえない。
時には、残った胃に再発することもある。これは、胃の壁のリンパ管を辿ってがん細胞が広がったものがおおきくなったものである。このような再発は残った胃をきちんと検査することで残ったがんを取り除くことが可能である。
そして、より有効な治療の開発や抗がん剤の研究が進んでおり諦めずに治療をすることが意義のあることである。



胃がんの転移は胃の壁伝いに進むばかりではなく、胃のリンパ管や血管に入り込んで、リンパ液や血流の流れに乗って胃から離れた場所に散らばっていく。これは、火事の時飛び火して、離れた場所に火事が広がるようなものであり医学的に転移という

胃がん転移には3大転移といわれるものがある

@リンパ行性転移
がんがリンパ管に入り、リンパ節に転移する。

A血行性転移
がんが血管に入り、肝臓や肺などに転移する。

B腹膜播種性転移
がんが胃の一番外側の膜(獎膜S)を破りお腹のなかに種を播いたように広がる。

他の場所に転移したがん細胞はそこで大きくなり、肝臓の機能が落ちたりお腹の中に水(腹水)が貯まったり、腸が狭くなりして死亡する原因になっている。これを転移再発という。
転移さえしなければがん治療はもっと簡単であり「転移を制するものはがんを制す」という言葉があるくらいである。

ここに記載した内容は
「胃・友の会だより」第10号から抜粋したものである。

勉強会に戻る  闘病記TOPに戻る