■水は生命の源

水と生命の誕生
宇宙の起源は約150億年前に起こった大爆発(ビッグバン)であるという説があります。
そのビッグバンの際の膨大なエネルギーが物質化したものが天体であるとされています。
つまり宇宙の初めは物質がなく、エネルギーだけが存在しており、このエネルギーの固まりが
ものすごい勢いで膨張する過程で急激な温度変化が起こり、物質が生成したと考えるものです。
この物質が固まったものが天体であり、地球の創世なのです。

ビッグバンから100億年ほど経過した頃、銀河系の片隅で、ガスとチリが星雲をつくり、
なんらかのキッカケで急に収縮をはじめます。
これが原始太陽系です。
収縮の過程で、この星雲が自転運動をはじめ、この自転の過程で星雲がちぎれ飛び、
さらに金属鉄を大量に含んだ微惑星を形成します。
この微惑星同士が何度も衝突をくりかえし、太陽系に惑星が誕生しました。

地球の大気も惑星衝突の産物と言われています。
衝突の際、惑星に含まれていた水と炭酸ガスが蒸発して大気となり、
やがて地表の温度がさがるにつれ大気中の水蒸気が雨となって地上に降り注ぎ、原始の海が誕生したのです。
原始の海には、原始地球の大気に二酸化炭素、亜硫酸ガス、塩化ガスなどが多量に含まれていたと推定され
ています。
やがて大気中の成分が結びつき、簡単な有機物質が合成され、これが生命の源になったとされています。
(ソ連の生化学者オパ−リンの学説)
つまり、原始地球の大気に含まれていた水素、アンモニア、メタンなどと水蒸気が結びつき、簡単な有機結合が
行われたのです。この有機物質がしだいに発展し、個々の生命体になっていったのです。

この有機物質の誕生は水の中で行われました。
有機物質は大気中では長くとどまることができません。
太陽光線に含まれている紫外線が遺伝子のDNAを破壊してしまうため、
ごく単純なレベルでの"生物"は生存できないからです。

オパーリンの説によると、原始地球の海の水はもっと塩分濃度が低く、
こうして誕生した"原始的な生命体"を種々含む「最初のスープ」のようなものだったそうです。
原始地球の海は、酸化的大気をたっぷり溶かしこんだ雨が降り注ぎ、たまったものであったため、海水は大きく
酸性に傾いてたとされています。
たくさん存在する「スープ」の中で、さらに「原始生命体」が自然に結合し、より高度な生命に発展していったとい
うのが現在の有力な学説です。

原始生命体が誕生した時期がだいたい35億年前とされています。
32億年前には「藻類」が出現し、光合成によって酸素がつくり出され、それが海水にたまり、さらには大気中に
たまって、現在のような酸素の多い大気になっていきました。この頃に陸上動物が出現しています。
それまではすべての動物は海の中で生命を育んでいたわけです。

これが最初の生命誕生の過程であり、水が生命の源と呼ばれる理由なのです。

【参考文献】
「からだによい水地球によい水」:TOTO出版
 日比谷国際クリニック院長鴨下一郎著
「暮しの中の水百科」:にっかん書房 江川隆進
「すぐに役立つ水の生活学」:けやき出版 松下和弘